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真田広之×J・ギレンホール×ライアン・レイノルズ共演SFホラー『LIFE』ザックリとレビュー

レビュー『小規模ながらも鋭く光る画風で描く、極限状態に陥ったISSの内幕』

オススメ強度:★★★★

上にソニピク国内放映用の予告編が貼ったけど、あらすじはホントにこれだけ。というかあまり情報を持ち寄らず、先入観無しで観た方がより熱中出来る一作だと思う。

『人間を、砕く』というシンプルながらもおっかないコピーは、ここ最近の映画のアオリでも類を見ない秀逸さだと思う。

Sci-Fiで超コワいホラーを創る!!となると、莫大な予算を投じてスケール感をとにかく膨張化させる事が重要視されているような昨今だが、この"LIFE"という映画では主要登場人物がたったの六人で、舞台も国際宇宙ステーションという広大なようで実際は超狭い空間にのみ設定されている。面白い事にその宇宙ステーションも、ドラマが進行するに連れて、行動できる範囲が急激に狭まっていくというSFとソリッドシチュエイションが同居した息苦しいホラーに仕上がっている。居るだけで空気が不穏に感じられる、ジェイク・ギレンホールのタレント性はホントにズルいと思う。

映画全体の尺は100分超だが、体感だと80分ぐらいに感じた。そう感じさせたのは、そこまで没入出来るぐらい世界観や、登場するクルーのキャラクター構築が練り上げられていた証左だと思う。SFモノだと二時間超えの長尺が最近かなり多いが、本作は逆に本編を切り刻んでギリギリまで短く編集されているようだった。実際、各予告編で確認できたシーンが劇中に無い所も散見された。しかしながら、本編はかなりダークでエキサイティングなまとまりだ。むしろ登場人物のバックボーンを、もっと時間を掛けて掘り下げても良かったと感じたぐらい。

SF映画特有の固有名詞や、おおげさなキャラクターがスクリーンに居なくても、キチンとしたSFは創造出来ると製作陣は改めて示してくれた。「こういうのでいいんだよ。こういうので」と体内を食い破られ、惨たらしく事切れるローリィに戦慄しながらも、こんな映画を撮れる映像作家が存在する事に、なんだか安堵感を抱いてしまった。

体表センサーや酸素キャンドル、ARで船内に青白く浮かび上がるステーションの全体像等、登場するガジェットは未来的ながら、私達が住む現代とはそう遠くない未来なようで、特にNYタイムズスクエアで火星からステーションに舞い降りた新生命体に小学生が『カルビン』と名前を付ける場面や、TV中継で子供たちとステーションクルーの面々が質疑応答するシーンなんかは、如何にもinstagramやyoutube映えしそうで妙なリアルさがあった。

撮影技法やキャストの演技においても野心的な試みが観られたと思う。SF映画で代表的な無重力シーンと言えば『さよならジュピター』の空中絡みか『インセプション』で繰り広げられたアーサーの大立ち回りが大変著名だと思うが、

今作の冒頭における、ローリーが船外活動を終えるまでのワンカット風(?)の無重力長回しが、どうやって撮影したんだかまるで想像出来ない。この冒頭シーンは雰囲気がかなり慌ただしく剣呑な事に加え、デビッド(演:ジェイク・ギレンホール)が言い放った「日本語でなんて言うんだ?」との問いかけに、ショウ(演:真田広之)が「呼吸しろ」とそのまま日本語で静かに受け答える場面がとても印象深かった。

ライアン・レイノルズは、これまでのキャリアから「当たり役もらえた芸人」みたいな印象を抱く人も多そうだが、ラボでカルビンが口元に張り付き、言葉なくパニックに陥る場面は息をのむ迫力があった。ライアン演じたローリーの他、次々と犠牲になるクルーの描写は今まで中々無かったユニークさで、キャストの熱演もありどれも強烈。SF映画ではキャラクターの犠牲が付き物だが、クルーをまとめる司令官"キャット"ことエカテリーナが、宇宙の闇に吸い込まれるまでの一連シーンはあまりにも斬新過ぎた。必見である。

真田氏が本作に触れたインタビューで「この映画は、人間のエゴの恐ろしさを描いている」と答えた通り、皆良かれと思っての行動が命取りになっている。しかし、情報の共有も無く、施設もまともに稼働出来ない状態であの場所に閉じ込められたら、果たして正常な判断なんて出来るのか?

クルー達の行動を鑑みて、自分ならどうしただろうか?と考えさせられた一作だった。

本家『エイリアン』シリーズよりエイリアンしてた本作

つくづく時期が悪かったと思う一作。

もともとソニピクは広報が強い訳でもなく、加えてリドリー・スコット本人が新作エイリアンを製作中との事もあり、本家本元のフォックス側のプレスが隙を許さなかったのだろうが、もっと評価されてしかるべきだったと思う。本作を指さして「初代エイリアンのパクリじゃん!」と声を荒げる原理主義勢力もいるようだが、正直コヴェナント観てガッカリしてから、改めて本作を観ると不思議な事に新生エイリアンシリーズよりエイリアンしてるじゃん!と痛感する。

スコット監督がエイリアンが誕生するまでを通して、神話を創りたい気持ちも分からないでもないんだが…

船内で殺意MAXのまま徘徊し、クルー達を翻弄するカルビンの姿はガン細胞のイコンにも写る。クルーが倒れ、施設も次から次へと制御不能に陥り、ラストには更なる暗転が待ち受けている。体表を黒々と変色させたカルビンの様は、体内を侵食する悪しき病魔みたいだ。

終盤のオチにはちょっと驚かされた。レベッカ・ファーガソン女史の喉が心配。

バッドエンド好きなら、是非とも本作をオススメしたい。

それと本作の結末から、トム・ハーディを主演としたスパイダーマンのスピンオフとなる"VENOM"と、その物語の核となるシンビオート飛来を描いた映画だったのでは?との憶測も流れていた。言われてみれば、ポッド内にまとわりついたカルビンの姿は、ヴェノムの巣のようにも見える。しかし実際の所、監督自身が撮影終了後のインタビューにて「私の映画がヴェノムの物語だったなんて三日前に初めて知ったよ」と冗談めかして返答している。

因みにトム・ハーディ主演の"VENOM"は、今年の10月に全米公開予定。

日本国内では二か月遅れの12月に解禁との事。これはコレで観たみたい。

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