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今春劇場公開作品を振り返る⑦~メッセージ~

基本情報

原題:arrival

製作年:2015年

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

脚本:エリック・ハイセラー

製作主導:フィルムネイション,ラバ・ベアー・フィルム,21ラップス・エンタテイメント

製作国:アメリカ

登場人物

ルイーズ・バンクス:エイミー・アダムス

イアン・ドネリー:ジェレミー・レナー

ウェーバー大佐:フォレスト・ウィテカー

ハルペーン捜査官:マイケル・スタールバーグ

シャン上将:ツィ・マー

6歳のハンナ:ジャディン・マローン

8歳のハンナ:アビゲイル・プノウスキ

12歳のハンナ:ジュリア・スカーレット・ダン

 

あらすじ

傷心中の言語学者ルイーズ・バンクスが大学で講義中、

突如として緊急事態警報が発令。世界各地で宇宙船が飛来した為だった。

ウェーバー大佐なる人物に連れられるまま、物理学者のイアンと共に

宇宙船が現れた、その最前線へと召喚されるルイーズ。

船には地球外生命体がおり、各国の政府筋は彼らとの対話を試みていた。

 

早速コンタクトを行うルイーズらだったが、彼らとの話し合いは

混迷を極める所か、むしろ各国の連携を阻む結果となった。

彼らを理解しようと躍起になるルイーズだったが、原語解析は難航。

更に失われた家族の幻影が彼女を蝕み始める。

 

彼らはどこから来たのか?彼らの目的は?

周囲に疑われながら、それでもルイーズは彼ら『ヘプタポッド』と向き合う。

レビュー「隣に"エイリアン"が越して来たら?という壮大な疑問符」

オススメ強度:★★★☆☆

前評判等は特に気にもせず、予告編を眺めた後で劇場へと足を運びました。

予告編のエイミーの表情に何とも無しに惹かれていたのかも知れません。

意外な事に平日昼間の上映でド田舎にも関わらず、

私と同じく予告編に魅了されたか、あるいは日本配給を担当した

広報の尽力のおかげか、観客の入りは結構な物でした。

netgeek.biz

その荘厳で神秘的な画作りにとにかく圧倒されます。

エイミー・アダムスが演じた言語学者ルイーズの健気さに心打たれましたし、

ヘプタポッドが示唆した未来を通じ、ルイーズが抱く覚悟を

信仰心へとなぞらえた心理描写もまた素晴らしかったです。

エンドクレジットに流れる、モールス信号をモチーフとした

ヨハン・ヨハンソン氏の手による本作のテーマ曲の妙にも感嘆します。

 

一方、ルイーズやイアンら解析学者らの行動の行き当たりばったり感や

物語におけるオチの演出はやや突拍子が無いように感じられて残念。

もっとも『ヘルメット脱ぎ』はSF映画のクリシェでもあるし、

プロメテウス等を観るに最近はこういった構成がトレンドなのかもしれません。

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(↑リドリー・スコット監督による御存じエイリアン・フランチャイズ・スピンオフ。エイリアンのミイラにビビる癖に、生きてる宇宙蛇に平気で手を差し出す科学者、未知の惑星で遺跡を見つけたという偉業の前に何故かマジ凹みしてる考古学者、ブロンド美人に現を抜かしてクルーを監督しない宇宙船の船長、やたらと家族関係がゴタゴタこじれてる経営陣等々、色々とぶっ飛んだ脚本構成で悪名高い。)

脚本の骨子はテッド・チャンが書き記した短編『あなたの人生の物語』を

基としており、劇中エイミー演じる言語学者の立ち回りも、

おおまかな全体の構成も原典により忠実なまとまりとなっています。

 

突如として現れた未知なるエイリアンとの交流を描いた、

叙情的な雰囲気のSci-Fiではありますが、個人的にヘプタポッドとの会話から

情報を各国政府が独占せんと、躍起になる様子は

資源を廻る大国同士の一筋縄ではいかぬ駆け引きのデフォルメにも思えるし

「もし言葉の通じぬ隣人が越して来たら?」

という移民問題の提起にも写って、大変リベラルな視点が含まれています。

 

過激なブロガーの発言に煽られ、ヘプタポッドとの対話の部屋に

プラスティック爆弾を仕掛けた白人米兵達の行動は、到底擁護出来ませんが

交流を続けるに連れ、次第に保守的になる政府の発言も分からなくも無いし

ヘプタポッドの二人と必死に対話しようと懸命な努力を重ねる

学者サイドの働きも確かにロマンに満ち溢れてはいますが、

序盤において初めて彼らの文字を拝んだ瞬間や、

ルイーズとイアンが名前や動作、その一つ一つをなんとか伝えようとする姿を

観た後はウィテカー演じたウェーバー大佐、ホワイトハウス高官のように

「本当にこれで良いのか?」と疑う様子にも共感出来ます。

これらの緻密な描写のおかげもあり、本作はSF映画の枠組みをも超え

多角的なテーマを巧みに盛り込む事に成功しています。

各国の映画祭で絶賛された事実にも納得。 

 

更に本作ではルイーズに憑りついた、家族の亡霊の姿も物語のカギを担います。

原作の短編と同じく、コレこそが本作のプロットのひねりとして

大きく機能しています。ネタバレはしません。

が、あなたも観たら誰かに伝えたくなるハズ‼是非、劇場でご堪能下さい‼

ルイーズは言語学者として真摯にヘプタポッドに向き合う一方、

自身の母としての側面にも苦悩します。

彼女が内面に抱く葛藤は母性を揺さぶり、強烈に突き刺さります。

実際、劇場でも鑑賞中の奥様方の啜り泣きが聞こえてきました。

 

もし彼女と同じ境遇なら自分も同じ道へと真摯に向き合い、歩めるだろうか?

そう考えた時、とても冷静では居られないだろうと痛感します。

ジェレミー・レナーやフォレスト・ウィテカー、ハンナを演じた

若い女優の方々等、脇を固めるキャストにも恵まれましたが

やはり本作はエイミー・アダムスの存在が無しでは完成しなかった事でしょう。

 

過去のフィルモグラフィでもそうでしたが、エイミー・アダムスの

透き通るような純粋な表情がルイーズという女性により説得力を与えています。

あなたの人生の物語