血を吸う大地のよろずブログ

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過去とアイドルがピーターに牙剥く『スパイダーマン-ファー・フロム・ホーム-』をザックリとレビュー

エンドゲームとは対照的な表現でMCUを追体験する『スパイダーマンFFH』

オススメ強度:★★★★


<大ヒット上映中>映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』世界最速公開

今週のお題「2019年上半期」

そういう訳で、夏映画のド定番な気がしてるスパイダーマンが今年も日本上陸!昨日のレイトショーで早速鑑賞した。劇場内で、ポップコーンとかジュースとか床に落としてぶちまけてる人が結構いてスタッフさん数名が対応に追われてた。可哀想に…

タイトルにアイドルって書いたけど、別にピーター・パーカーが海外のポップ・グループと闘う訳じゃなくて『ヒーローが来てくれた!』『ヒーロー負けるな!』『もっとヒーローらしくしろ!!』と言った形の無い偶像が絶え間なくスパイダーマンを追い詰める筋書になっている。

友人は「天国のスターク目線でピーターを見ているみたいだった…マジ無理…つらみ…」と泣きっぱなしで、ラスト付近になると劇場のあちこちですすり泣く声が聞こえた。ただ、個人的に今回のピーター・パーカーの冒険は賛否分かれそうな予感。

あんまり具体的に書かないが基本ネタバレありきレビューなんであしからず。

鑑賞中、「MCU世界でトゥルーマン・ショーやったらこんな感じになるのかな?」みたいな印象を抱いた。

本作には確かにヴィランが存在するけど、サノスとかクリー連中に比べやってる事のスケールが遥かに小さい上、CWのジモがそうだったように「向こう側へ行ってしまった」バックボーンを皆が抱えている。かつてのアベンジャーズと同じく悪党連中が各々の才能をフル活用し、チームアップしてピーター・パーカーを陥れる様子はひどい皮肉だと思う。

本作でもってMCUフェイズ3が一区切りとなり、今年のコミコンで新たなシリーズの告知が予定されている。エンドゲームを指差して「コレ結局MCU追ってないとわかんないじゃん!」との声が今なお結構あるみたいだが、映像的にMCU世界を遡ったエンドゲームに対して、本作はピーター・パーカーの心を通じてMCUのヒーロー達が経た闘争や葛藤、再起、そして成長をもう一度体験する事になる。

エンドゲーム視聴時、コレでフェイズの終わりじゃないの?なんで?と感じていたが、本作を見終えて「確かにフェイズ3の終わりにふさわしいドラマだった」と思えた。エンドゲームで盛り上がれなかったそんなヤツいるのかよ人は、ひょっとすると本作の方が気に入るかもしれない。アクションシーンは、何となくライミ版スパイディを彷彿させるド派手さでGood! ただ既に出回っているメイキング映像で語られている通り、無茶苦茶な場所でリグを使用したせいか、一部のシーンは無重力みたいになっちゃってる。

ずる賢く強かなヴィラン、仲間の裏切り、周囲からの評価やプレッシャー、ヒーローとしての名誉か、それとも自分自身の生活か、そして大切な人の為に自分が一体何を出来るのか?今回ピーター・パーカーが抱くジレンマは、かつてアベンジャーズの仲間達が辿って来たそれと全く同じだ。ヴィランの術中にハマってしまい、自棄になり涙ぐむピーターに「アイアンマンにはなれない。スターク自身もな」と声をかけ、アイアンマンでは無く、ひとりの人間としてのスタークの様子を語るハッピーのシーンはしんどい。しんどいよ(語彙力)

今まで様々なヒーローが死闘の末に自分なりの答えを見出して来た。本作のピーター・パーカーが、ユーロ小旅行の末に辿り着く新しいスパイダーマンの雄姿を是非、劇場で目撃して欲しい。ひねくれ者のMJとの煮え切らない関係にも要注目!

またミステリオを凄まじい眼力でパワフルに演じたジェイク・ギレンホールもまた強烈だった。「どう印象付けしたらヒーローとなれるか?」「何がヴィランを形作るか?」をミステリオは誰よりも理解していたと思う。ある意味本作は、W主人公のアクションエンタテイメントと言っても良いだろう。

映画の評価うんぬんより、ギレンホールがただ出演しただけでドラマが深刻な方に転がりがちだが、本作でも狂言回しとして八面六臂の活躍を披露してくれている。倒れても、タダでは起きないミステリオの覚悟と姿に圧倒された。まさかラストまで行って、あれ程の事をやらかすと思わず、もう天晴って気分。

ありがとう、ミステリオ。アンタさぁ…マジで漢だよ…

スパイダーマンよりも印象深いヴィラン&サブキャラ達

トムホ版スパイダーマンの魅力は主人公サイドでは無く、とにかく洗練された強烈な悪役達の存在なんだと本作で改めて実感。DCコミックのフラッシュもそうだが、当時のライター連中が何も考えずに創造したポッと出ヴィランを、MCUでは「現代的で、共感しやすく、カッコ良くてインパクト抜群なキャラクターにリファインしよう!」とやり過ぎな程クソ真面目に考察している。

前作でも頭髪を思いっきり後退させたマイケル・キートンを迎え、フライトジャケットと光沢がグラマラスなアーマーを身に纏う超絶スタイリッシュなヴァルチャーをメインに、電磁ガントレットがイカすショッカー1号&2号、更にスコーピオンプロウラーの存在まで示唆して見せた。本作のヴィラン達は、アメコミの歴史に埋もれた悪党と同じく、過去に忘れ去られた人間達の集まりである点も感慨深い。とりあえず今からCWとアイアンマン第一作目観ます。ハイ。

毒ガスとVFXを駆使する原典のミステリオをMCUでどう映像化し、脚本的にもミステリアスな要素まで足してキャラクターを際立たせるという難題を、本作では巧妙な手でクリアしている。スーパーヒーロー映画も今じゃ星の数ほどあるが、まさかモーキャプスーツ着たまま大見得を切るヤツなんか後にも先にも出てこないハズだ。

毒ガスは出さないがラストの例のアレもそうだし、中盤の廃墟の戦闘シーンも毒としての作用は凄まじかったと思う。アイディアの巧みさで言えば、MCUでも随一だろう。今回は原作での闘いの再現は勿論、トビー版やガーフィールド版に加え、ゲームやスパイダーバースのオマージュも今までより多かったような気がする。それとあのJ・K・シモンズがJJJ役でまさかの登場!ちゃんとデイリー・ビューグルだし、後ろはアレックス・ジョーンズの"INFO WARS"のパロディまで!


Alex Jones Funny Moments & Voices Compilation

今回のミステリオと言い、リソース無しの薄っぺらい情報で容易く操られる我々を、ジョン・ワッツ監督率いる製作陣は今ごろ鼻で笑ってる事だろう。

また今後予定されているフェイズ4にも繋がるであろう、いくつかの謎も散見された。トムホ版スパイダーマンも、どうやらしばらくは続きそうである。フューリー(真)は何してる?他のヒーローはどこ行った?エレメンタルズはホントに実在するの?マルチバースの拡大は本当に起こるのか?これからのMCUに早くも期待大だ。

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