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ペドロで飛び出せ!まさかの宇宙西部劇『マンダロリアン』S1をザックリとレビュー

現代VFX技術で新たに創造される"どこか古めかしい"SF西部劇

オススメ強度:★★★★

なんだかんだ国内での配信も遂に決定したDisney+から御贈りする、あのスターウォーズの正統派スピンオフな海外ドラマシリーズ。しかも、本編サーガで無視出来ない戦闘民族マンダロワの意志を継ぐ、孤高の賞金稼ぎを物語のメインに据えたと来てはえ配給のゴタゴタが山積していても絶対に観るしかない(血の涙)www.eartheblood-sucker.com

シーズン1は全8話構成、もちろんここ日本でも全エピソード配信済み。このDisney+というVODが実装される前からSWファンの関心は高く、実際にエピソードが配信されると、そのあまりの硬派さとディテールの徹底ぶり、個性際立つキャラクター達、シビアでダークな世界観とストーリーで新スターウォーズ三部作にウンザリしていた馴染みのファンは勿論の事、国内外のドラマフリーク達を瞬く間に魅了したのであった。

遠い遠い宇宙の果て。帝国崩壊後の銀河は荒れ果て、やくざ者稼業はむしろ引く手数多。そして主人公もまた、物騒な界隈で剣客を担う一人なのだった。独特なシルエットのマンダロワ装甲を身に纏ったその男は決して名乗らず、いつも単独で仕事をこなし、金目にめざとく腕も立つ事もあり、周囲は罵りを込めて"Mando"と呼んだ。

ある日、男に破格の依頼が舞い込む。仕事は年齢にして50代ほどの人物を連れて来いという物。前払い分で装備を新調し、早速仕事に取り掛かるが、その行く先には思いがけない波乱が待ち受けていたのだった…

とにかくEP1から銃火器や貨幣、お馴染みのマンダロワアーマーといった小物類の出来に惚れ惚れしてしまい、画面に映る人物が何か手にする度に目を奪われてしまう。美術スタッフの仕事ぶりをとにかく称えたい。また、ルドウィグ・ゴランソン作のメインテーマも秀逸の一言。

 

宇宙は銀河大戦から復興している最中だが、劇中でも言及された通り星々は逆に疲弊しきっていて治安も悪く、帝国が倒れて平和が訪れたハズなのにむしろ暗黒時代にアタマ突っ込んでるような雰囲気だ。メインテーマから受ける印象がまさにそんな感じで、退廃・閉塞感・不安感といった後ろ向きなイメージを表現しつつ、後半は冒険映画らしい堂々としたダイナミックな曲調もあって、とにかく非の打ち所が無いぐらいこのドラマにハマっている。

ローグワン』も中々なダークさだったが本シリーズの雰囲気はまた一味違った、タイトで暗い引き締まり方に感じる。独特な気だるさは、他の海外ドラマではマイナスだったかもしれないが、本作では背景の描写に一役買っているかの様だ。スターウォーズのファンだが、新三部作の空気感がキライという方にこそ、今すぐご覧頂きたいスピンオフである。新シーズンが待ちきれない、個人的に劇推しな海外ドラマシリーズのひとつ。

 

製作陣のカルトさが光る妙作

あ、付け足しておくと自分は新三部作ヘイターです。「とりあえず目を惹く新要素を取り入れよう」の一点に注力する一方、今までのサーガのイメージに引っ張られてしまった結果、リスペクトも無ければ目新しさもあまり感じられなかったというのが新三部作に対する正直な感想だ。

一方のデイヴ・フィローニとジョン・ファブロー率いる本シリーズは、旧来のサーガや今やクラシックとなった時代劇、西部劇に対するカルトな愛情や敬意に満ちていて、しかも新造されたキャラクター達の掘り下げも素晴らしく、帝国が倒れた後の荒廃した宇宙に抗う戦士たちの息遣いがひしひしと感じられる。実際に劇中のマンダロリアンも、高度に武装したかなりカルトな連中という扱いで、そういった製作陣の熱狂さ狂信さが良い意味でも自虐的な意味でも劇中へと落とし込まれているのかもしれない。個人的にEP8クランクアップ後、周囲のストームトルーパー役が全員ヘルメットを外す中で、主役のペドロ・パスカルがただ一人だけヘルメット被ったまま写ってる集合写真に物凄く感銘を受けた。*1

各エピソードの印象もバラエティに富む。思いっきり七人の侍みたいな話、廃れたタトウィーンで繰り広げられるマカロニ・ウェスタンみたいな話、ちょっと昔の脱獄サスペンスみたいな話、グリーフ・カルガ(カール・ウェザース)や仲間達と手を組みサハラ戦車隊みたいに共闘する話と実に色彩豊か。というか、主人公とベイビーヨーダの二人組も子連れ狼っぽく観えなくも無い。

ジョージ・ルーカスが手掛けたEP4~6はルーカス本人の時代劇、西部劇、戦争映画に対するオマージュを含みつつ、Sci-Fiでありながら何処か古めかしいような懐かしいようなムードが満ち溢れていたが、製作チームはその雰囲気を継承しつつ今のVFX技術でしか表現出来ないようなドラマに仕上げている。特にIG-11がもたらしてくれるカタルシスは最たる例だろう。

またモス・アイズリーや悪名高き"LifeDay"ネタ、ベイビーヨーダにケンカ吹っ掛ける猫名前が思い出せない等、スターウォーズマニアならば「あ!コイツ知ってる!」と分かる小ネタも満載で飽きさせない。ファンなら何度も繰り返して楽しめると言う点でも有り難い限りだ。

孤高のマンダロリアンの明日はどっちだ!?

ここまで書いたら当然主人公たるマンダロリアンに目が集まりそうなモンなんだが、配信以降IG-11、ベイビーヨーダ、クィルといったキャラクターが話題に挙がり主人公の方がむしろ影が薄いまである。特にベイビーヨーダのMEME流行は深刻だし、主人公差し置いてここまで著名なキャラになるとはプロダクションも予想してなかったと思う。今日も今日とて、twitterREDDITではベイビーヨーダの糞コラが貼られている事だろう…

ちなみにベイビーヨーダはVFXに頼らず、数十~数百万$という巨額の予算を投じて実際に製作されたそうな。EP8でバカを晒し、IG-11にボコにされたスカウトトルーパーを演じた米国コメディアンのアダム・パリーは、現場で興奮するあまりベイビーヨーダのマペットを全力で殴ってしまいジョン・ファブローから叱責を喰らったらしい。

スターウォーズで一番凶悪な悪役は誰か?という話題がある。新三部作の公開以降、ファンからは冷やかしで「キャスリーン・ケネディこそ屈指の悪党!」という意見も観られたが、マンダロリアンEP8冒頭のスカウトトルーパー×2も、今やスターウォーズの凶悪な悪党連中と肩を並べる事になった(大嘘)

バカ話はこれぐらいで、実際マンダロリアンの今後のスケジュールはかなり気になる所だ。シーズン2に登場するキャラクターに今から目が離せない。少なくともアソーカとボバの登場が確定している。アソーカは初の実写化、ボバもあれからどう"帰還"してくれるのかも気になる所。

現状は企画段階とは言え、今はコロナウィルスの影響もありプロダクションはおろかディズニー全体で撮影スケジュールが停止中らしく、この後も見通しは難しい状況。本作は海外ドラマとしては個人的にローテンポな方と感じているが、シーズン1では謎めいた人物やアイテムが多く示唆された為に正直かなりもどかしい…

*1:いや、ただ単に面倒だっただけかも…