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スカヨハエログロSF奇譚は攻殻機動隊への布石?「アンダー・ザ・スキン-種の捕食-」!!

基本情報

原題:Under The Skin

製作年:2013年

監督・脚本:ジョナサン・グレイザー

製作主導:フィルム4プロダクション,英国映協(BF1)

製作国:イギリス,アメリカ,スイス

 

登場人物

『狩り』を続ける彼女:スカーレット・ヨハンソン

バイクの男:ジェレミー・マクウィリアムス

川辺の死体:リンゼイ・タイラー・マッキー

一人目の男:ケヴィン・マクアリンデン

海で泳ぐ男:クリストフ・ハーディク

異形の男:アダム・ピアスン

木こり:デイブ・アクトン

 

あらすじ

エイリアン侵略モノでありながら、徹底してシンプルな脚本です。

ここでは敢えてプロットのご案内は致しません。

是非、ご自身の目でお確かめ下さい。

レビュー「その日暮らしを強いられる超越者の奇妙な心情風景」

オススメ強度:★★★★

この映画を誘拐を伴う人身犯罪や、セックス・トラフィック、

あるいは搾取する側とされる側、凶暴で身勝手な男性性と鑑みて

常に被害者側となる女性の悲劇性のメタファーだ、と観る向きも有る様ですが

本質としては最初に書き記した通り、異星人侵略モノで間違い無いでしょう。

原作は未読ですが、映画を鑑賞後は目を通してみたいと感じました。

 

この手の侵略モノフィルムは、Sci-Fiというジャンル映画の始祖から

現在に至るまで、数多創造され続けております。

しかしながら、劇中の主人公である彼女(スカーレット・ヨハンソン)の

設定や内面の表現がとにかく異彩を放っており、独創性のかなり強い作品です。

 

劇場公開時の予告編やパッケージにも表記がある通り、

要はスカヨハが演じる彼女の『狩り』の風景を、とにかくひたすら淡々に

描いてはいる物の、具体的な情報は全く提示されないので

その時その時の登場人物の表情から、鑑賞者がひとつひとつ状況を想像し

状況や感情の起伏を汲む形となります。なので

「映画は基本的に王道ハリウッドエンタメしか観ない」

とか

「なんで映画観るのに国語の授業みたいな事しないとイカンのか」

という方には退屈に感じるでしょう。

 

しかし、雨に濡れた冷たいユナイテッド・キングダムの街中や

一転して殺風景な農地、暗く薄暗い雑木林など移り行く景色は

どこか寂しさを感じさせますが、いずれもとても印象的で、圧巻の一言。 

更に、彼女らエイリアンの変装とか食事(?)や、初めて食べたケーキを

思わず吐き出しえずくシーン、車内で執拗に口紅を塗り込むカット等々、

この映画ならではな、強烈なインパクトを残す描写が目白押しです。

 

人によって抱く感想は様々かもしれませんが、オススメしたい一作です。

この映画で私が特に大好きなポイントはやはり、スカヨハの全裸でs(ry

あまりにも異色過ぎる、主人公のエイリアンの描写です。

 

かつてリドリー・スコット御大があのバケモノをスクリーンに解き放って以来、

数えきれない程のエイリアンが銀幕でド派手に跋扈し続けましたが、

それらに比べ、スカヨハ演ずる彼女の暮らしぶりはなんと質素で味気無い事か。

彼らも生き物なので、当然食べて代謝しない事には死ぬ訳ですが

どうやらこのエイリアン、ひどく困窮している様子。

それにプラスして、獲物の選定も慎重に行わなければなりません。

ひもじいのに選り好みしてる場合か!というツッコミも当然あるかと思いますが、

エイリアン達側の事情も、劇中から何となく察する事が出来ます。 

スカヨハがバンの運転シート越しに、または直接標的の『品定め』を

念入りに行う一連の掛け合いは、見ようによっては大変シュールかつ滑稽で

この映画の重要なキモにもなってます。

 

本作に内包された主題には『新たな価値観の芽生え』もある事でしょう。

食を満たす単なる獲物。それを初めて逃がした事で彼女に転機が訪れます。

自らの正体を暴かれる事を恐れながら、人間に関心を抱き始める彼女。

鏡で自分の体をしげしげと観察したり、冴えない中年男と寝ようとしてみたり

次第に獲物のみならず、自分自身にも興味を抱き始めます。

 

しかし、エイリアンと我々人間との間の溝はやはり深く、

最後にはやるせない幕引きが訪れます。

曇天に立ち込める黒煙を観て不思議に思いました。

彼らと私達、身勝手だったのは一体どちらだったのでしょうか?

解説、そして"GHOST IN THE SHELL"

UK出身で緻密な技巧派ながらも、独特の艶めかしさ際立つフィルモグラフィで 

常々賛否両論を巻き起こして来た、ジョナサン・グレイザー監督。

長編映画製作は、グレイザー監督にとって九年ぶりとなりました。

製作にあたってスカヨハのフルヌードと体形の描写、

そして現地でのゲリラ撮影が話題となりました。

また先天的な腫瘍症を患い、過去にいじめや差別など不当な扱いを受けながらも

俳優としてのキャリアを選択したアダム・ピアスン氏の長編映画処女作でもあります。

彼は同じように外見にハンデを持つ人々を、偏見や差別から救済する慈善団体

Changing Facesに参加。

www.changingfaces.org.uk

俳優業として意欲的に活動する事はもちろん、

団体の慈善活動や、周知の為の広報にも精力的に参加なさっているそうです。

 

劇中、アダム氏が演じた男とのふれあいがスカヨハの演じた主人公にとって

大きなターニングポイントとなっています。

今作でのスカヨハとの共演、更に劇中の演技の内容に触れ

「次はボンド映画のヴィランも披露出来れば」とのコメントも。

彼の臆する事の無い体当たりな演技もまた必見です。

 

本作を視聴する上で見逃せないポイントがもう一つ。

それが"GHOST IN THE SHELL"への繋がりです。

「アンダー・ザ・スキン」は実写版における草薙素子のキャスティングが、

何故スカヨハだったのか?という疑問を払拭してくれた一作でした。

なんでかってスカヨハの無機的なエロさと表情のグロテスクさ、 それと加えて

劇中、彼女の醸し出す何とも言えないシュールな雰囲気が飛び抜けて際立ってます。

 

更に更に今作で表現された肌の下に潜む正体であったり、

物語の終盤「ヒト」に興味を抱き始める描写なんかは

ぶっちゃけ実写版攻殻機動隊でそのまま模倣されているような気もします。

 

「GHOST IN THE SHELL」と「UNDER THE SKIN」

直接的な繋がりは全く無い物の、どちらもアイデンティティーに苦悩し

激しく動揺する女性を描いたSF映画の意欲作です。

抱く感想は様々かと思います。是非、両作品を観比べてみて下さい。

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